1.国や国が団体などに委託して行っている補助事業
補助金の目的
補助金はつくり手にとっても住まい手にとってもメリットの大きい施策ですが、そもそも目的は「政策誘導」のための「インセンティブ」(背中押し)です。
政策には大きく、強制力のある規制策と、方向を示してそちらに導いていく誘導策のふたつがあります。 市場が未熟な分野では強制的に市場を育てたりルールを守らせる必要がありますが、住宅のような成熟した市場では誘導策をとることが基本です。たとえば、2020年までに省エネ基準の適合義務化が行われることが決まっていますが、省エネ先進国と言われ、また省エネ立国を目指すとまで言っている国にもかかわらず、これまで住宅の省エネ化では、基準を示し補助金や金融的な優遇制度などによってその達成を誘導していく誘導策のみが取られてきました。
適合義務化を規制で行うと、それに対応できないつくり手は退場を迫られることになりかねません。また、規制はコストアップを招き、つくり手だけでなく住まい手の負担も増えます。こうしたこともあって住宅の省エネ化は誘導型で行われ、そのなかで補助金が「背中押し」として効果を発揮してきました。
逆に言えば、補助金を見ると国がどこに住宅政策を誘導しようとしているかが良く見えてきます。しかし、国の目論見がどうであれ活用できる補助金は有効に使って建築リフォーム資金に利用しましょう。
現在、住宅分野のトレンドは①環境・省エネ②国産材活用③中古住宅・リフォームの3つです。
補助金を徹底活用する
補助金の財源は税金で、税金は富の再分配が目的ですから、すべての国民がなんらかの分野でなんらかの補助金を活用できるのが理想です。ところが住宅分野では、利用を積極的に提案しているつくり手とそうでないつくり手で大きな差があるのが実態です。
一因には周知不足がありますが、手続きや書類の作成などが「面倒くさい」ことからつくり手が敬遠している側面もあります。もちろん手続きの簡略化も必要です。ですが、「面倒くさいこと」をきちんと代行するのがプロであり、ここが顧客の満足につながります。
また、つくり手自身としても、国が誘導する家づくりへの挑戦を、補助金を活用して進められるのは大きなメリットです。ぜひ積極的に活用し、より良い家づくりを実現いただければと思います。
住宅エコポイント
①断熱性能の高いエコハウスにポイント
②7月末までに始めた工事が対象
③交換商品に被災地への募金も
◎新築に最大32万円、リフォームに最大30万円
断熱性の高い「エコハウス」の新築や購入、今住んでいる住宅の断熱性能を高める「エコリフォーム」をする場合に、お金のように商品などに交換できるポイントを発行する制度。発行されたポイントは商品券やエコ商品などと交換できるほか、一緒に行う別の工事の代金にポイントを利用できる「即時交換」という制度もあります。また、3月29日以降、東日本大震災への義援金としても交換できるようになりました。
◎対象となる工事
対象となる工事は、原則、建物の断熱性能と設備機器の効率を合わせた総合的な省エネ性能の基準である「トップランナー基準」と言われる省エネ基準を満たす住宅ですが、木造住宅の場合、「次世代省エネ基準」と言われる建物の断熱性能を満たすだけで対象となります。
エコリフォームの場合は、工事に使う断熱材・断熱窓の出荷証明などをもとに、性能を判断して対象となるかどうかを決めます。対応製品などは事務局のホームページなどで確認できます。ポイント交付を受けるには、2011年7月末までに工事を始めなければなりません。この締め切り期限は当初、11年12月末まででしたが、予算上の制約から5カ月短縮されました。申請の期限は、一戸建てのエコハウスの新築は2012年6月30日、エコリフォームは12年3月31日まで。
◎発行ポイント数
新築の場合は、太陽熱利用システムを搭載した場合は32万円分、非搭載の場合は30万円分のポイントがもらえます。
エコリフォームは工事の内容ごとに発行ポイント数が異なります。合計30万ポイントが上限です。エコリフォームと一緒に行うバリアフリー改修や節水型トイレ、高断熱浴槽、太陽熱利用システムなどのエコ設備の設置工事もポイント発行の対象となります。
※問い合わせは、「住宅エコポイント事務局」(電話:0570 ─064─717)まで。
木のいえ整備促進事業
①木造の長期優良住宅建設に補助
②中小工務店の利用が条件
③1社につき5戸までの数量限定
◎地域材活用で最大120万円、通常タイプでも最大100万円
耐震性能や省エネ性能、バリアフリー基準など一定の条件を満たし、30年以上の維持管理計画を策定するなどの要件をクリアした住宅を「長期優良住宅」として認める制度があります。長期優良住宅として認定を受けると、税制の上乗せ優遇措置や長期固定住宅ローン「フラット35」の特別な金利引き下げが受けられるなどのメリットがあります。この長期優良住宅を地域の中小工務店が木造で建てた場合に利用できるのが、「木のいえ整備促進事業(長期優良住宅普及促進事業)」という補助金です。
建設費用の1割に相当する補助金を、地域認証材などを柱・梁・桁・土台などに一定量以上使った場合は最大で120万円、そうでない一般の場合でも100万円を上限に、もらうことができます。補助金をもらうためには、建物に関する条件などのほかに、建設する過程を公開し、関連事業者や住まい手などへの啓発を行うことなどの条件があります。対象となる中小工務店の目安は1年間の新築建築棟数が50棟程度までの工務店。ただし、1社あたり5戸の制限があり、また、国の予算枠に達した時点で
受け付けが終わるため、早い者勝ちです。
◎申請時期
8月31日までに申請先である「平成23年度木のいえ整備促進事業実施支援室」に必着分まで。ただし、住宅の建設予定地が東日本大震災の大規模被災県内(青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉)の場合は、これらの地域を対象とした申請枠を確保することで、被災などの理由で申請が遅れた場合に、受付期間を2012年1月20
日(必着)までとする特別措置を設けています。
------------------------------------------------------------------------「平成23 年度木のいえ整備促進事業実施支援室」
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂一丁目15番地 神楽坂1丁目ビル6階 電話:03-5229-7643 または03-5229-7644
長期優良住宅先導事業
①先導的なリフォーム提案に補助金
②新築部門の募集はなし
③個別提案だけでなくシステム提案も可
◎改修費用の1/3以内、上限200万円、内容次第で1戸200万円超のケースも
「長期優良住宅先導事業」は、住宅の長寿命化に向けた先導的な事業の提案を国が公募し、優れた提案に対して、必要な費用の一部を補助するもの。6月30日まで2011年度の第1回分の提案募集を行っています。
リフォームや中古住宅流通の活性化を推進していくという国の住宅政策方針を反映させて、今回は住宅の新築部門の募集を行われていません。戸建て住宅については、構造躯体の耐久性および耐震性を向上させる工事を実施することが必須の条件です。ただし、性能上昇の幅や基準などはなく、新耐震基準未満の住宅を新耐震基準以上へ向上させる場合、新耐震基準以上の住宅の耐震性をさらに向上させる場合、新耐震基準未満の住宅の耐震性を向上させるが、改修後も新耐震基準未満の場合のいずれも対象となります。補助金の額は部門などにより異なりますが、改修費用については、1戸あたり原則200万円までの補助が受けられます。
全体の改修費用の3分の1以内で、構造などの改修を行わない場合、3分の1を下回るケースもあります。また、先導性が高いと判断された場合は、200万円を超える補助金が認められる場合もあります。
提案のタイプには、改修する住宅が決まっている場合の「個別提案」と、特定の住宅の改修としてではなく、改修の内容を汎用的に決めフリープランで受注する場合の「システム提案」―の2つがあります。個別提案の場合は、提案の募集期限が住まい手にとっての「申し込み期限」になります。システム提案の場合は、提案の採択が決まってから(8月下旬の予定)、採択を受けた住宅会社・団体が対象工事の募集を行いますので、それに申し込む形になります。
民生用燃料電池導入支援事業
① CO2 排出削減事業への参加が要件に
②募集開始1カ月で2000 台超の申し込み
③機器価格は大幅に低下
◎エネファームの設置に105万円補助、従来型との差額と工事費の半分を補助
家庭用燃料電池システム「エネファーム」を導入する場合、その購入費用の一部を補助金がもらえます。補助金額は、補助対象システムの機器購入費用と「従来型給湯器」の機器費用(23万円)との差額の2分の1と設置工事費の2分の1の合計で、1台あたり105万円が上限。2009年度の140万円、2010年度の130万円から2年連続で引き下げられました。ただし、価格が大幅に安くなっているので、実際の設置にかかる負担は少なくなっています。すでに4月8日から2011年度分の募集が始まっており、2012年1月31日(17時)必着で、申込書を受け付けています。募集開始から1カ月強経った5月13日時点での申し込みは2387台と速いペースで申し込みが増えています。予算額は87億円で2010年度の68億円から2割強増えています。おおむね8000台超の設置を想定しています。
補助金の対象となるシステムは、一般社団法人燃料電池普及促進協会(FCA)が指定した機器システムで、中古品は対象になりません。2012年3月12日までに設置工事を完了させ、交付申請書の提出までを終えなければなりません。
◎CO2排出削減事業への参加
2011年度から、個人で申請する場合(個人事業主を除く)は、 「CO2排出削減事業への参加」が要件として追加されました。具体的には、国が運営委託する排出削減事業(グリーン・リンケージ倶楽部)や、地方公共団体・民間団体などが運営・管理するその他の排出削減事業などに参加することを、申請書で表明する必要があります。同事
業のモニタリングなどに協力が求められるケースがあります。
住宅用太陽光発電導入支援対策補助事業
①60万円/kW以下のシステムが対象
②既設も含め10kW未満のシステムが対象
③地方財源の補助と併用も可能
◎太陽光発電1kWあたり4.8万円、補助金交付額の上限は47万9520 円
住宅に太陽光発電システムを搭載する場合に補助が受けられる国の補助金です。2011年度は1kWあたり4・8万円の補助金がもらえます。最大約48万円(9・99kW搭載時)の補助金がもらえます。予算額は349億円で、17 万件程度の補助件数を想定しています。2010年度は1 kW あたり7万円の補助が受けられたことと比べると大幅に補助額は減っています。ただし、対象のシステムは価格が2010年度が1kWあたり65万円以下だったものが、2011年度は同60万円以下に下がりました。仮に5kWを搭載し、価格が条件ぎりぎりだとすると、2010年度は325万円(65万円×5)-35万(7万円×5)円=290万円の自己負担。これに対し、2011年度は300万円(60万円×5)-24万円(4・8万円×5)=276万円と約14万円負担が軽くなっています。2011年度からは、個人が設置する場合は、国内クレジット制度に基づくCO2排出削減事業などについて、申請の際に実施に関する意思を表明することが求められるようになりました。
◎地方独自の補助制度も
この太陽光発電システムの設置に対する補助は、国だけでなく地方自治体独自の補助制度も数多く設けられております。国の補助制度と併用することも可能なため、利用できる場合はさらにお得に設置することが可能です。
◎拡充の可能性
節電対策を進めるために少なくとも2010年度並みに補助額を引き上げるとする提案が、4月下旬に民主党から政府に対して提出されており、今後、拡充される可能性もあります。
既存住宅流通活性化等事業
①売買をともなうリフォームが対象
②瑕疵保険の付保、履歴の蓄積が条件
③大規模修繕も対象に追加
◎1戸あたり最大100万円を補助工事費や保険にかかる費用などが対象
「既存住宅流通活性化等事業」は、リフォームや中古住宅の流通を活性化させることを目的とした補助事業です。2010年度は、リフォーム工事だけでも対象となりましたが、2011年度は、原則、流通(売買)をともなうリフォームに対象が絞られました。事業者などが登録・申請を行い、申請した事業者などに対する補助として実施される予定です。
◎適用条件
同事業では、住宅の性能を維持・向上させるためのリフォーム工事を行うことが条件のひとつになっています。また、保険法人の販売する「既
存住宅売買瑕疵保険」(リフォーム工事後などに建物の調査を行い、万が一、瑕疵が発生した場合には、保険金が支払われる仕組み)への加入を行うことも条件になっています。これらの工事内容や保険を適用する際の検査結果など「住宅情報履歴」といわれるデータについて、国土交通省が公表する「住宅履歴情報登録機関」に登録するか、または事業者自らが蓄積を行うことも条件になっています。これらの建物の性能の向上や、中古住宅向けの瑕疵保険や住宅履歴情報の蓄積による安心度合いの改善が、住宅価格の上昇にどのような影響を与えるかを検証することが、同事業の目的のひとつです。
◎補助額
補助限度額は1戸あたり100万円。リフォーム工事にかかる費用(工事の内容により異なる)や、保険加入にかかる費用のうち、事務手数料の一部と現場検査手数料、住宅履歴情報の登録や蓄積にかかる費用などが対象に含まれます。
◎大規模修繕タイプ
2011年度の事業では、マンションなどの大規模修繕が補助の対象に加わります。大規模修繕向けの保険商品ができており、これらの利用を推進することが目的です。大規模修繕の場合は、売買契約がともなわなくても補助金を利用できます。
家庭・事業者向けエコリース促進事業
①頭金なしでもエコ設備導入可能に
②高効率給湯器なども対象に
③点検・修理サービスが受けられる
◎リース料総額の3%を助成下限は家庭用65万円
「家庭・事業者向けエコリース促進事業」は、一般の家庭や中小企業が環境にやさしい設備・機器を初期投資がなくても導入できるよう助成する事業です。具体的には、各種のエコ設備を、リース形式で導入した場合に、リース料の一部が補助されます。6月の中旬から補助金申請の受け付けが始まる予定です。
リースには、初期投資を抑えるというメリットがありますが、事務手数料(リース金利)などの負担が発生するため、特に家庭分野での利用は多くありませんでした。
このため、エコ設備などのリースを行う事業者(エコリース事業者)について、銀行ローンなどでの購入の場合に比べて、不利にならないように助成する制度です。
◎対象機器
対象となる機器は、環境省が定めた対象製品カテゴリーとカテゴリー別の条件を満たすもの。家庭向けでは、高効率給湯器、電気自動車、既築住宅向け太陽光パネル、燃料電池なども対象製品に含まれており、幅広い製品カテゴリーでの利用が可能です。ただし、家庭向け高効率給湯器などの低価格商品は対象外。
ホームページなどで対象製品の型番を公表するとしています。また、今後も対象製品を増やしていく予定です。
◎助成金額
低炭素機器などのリースを行った場合について、リース金利分の助成として低炭素機器価格の3%が、指定リース事業者経由で間接的に補助されます。この事業の仕組みを使って、指定リース事業者が100万円のリース契約を家庭などと結んだ場合、指定リース事業者が97万円を家庭などのユーザーから、3万円を国からの補助金として受け取ります。1リース契約の上限額は2億円、下限額は事業者が300万円、家庭が65万円。
今後は、ESCO推進協議会のホームページなどで詳細情報が公開されていきます。
